【ヴァンフォーレ甲府#9】2025 J2 第19節 vs ロアッソ熊本

ヴァンフォーレ甲府

皆さんお久しぶりです!Shawです。

個人的にバタバタしていたせいで、なかなか更新できていませんでしたが、落ち着いてきたので再びマッチレポートも再開していこーかなと(試合はきちんと観ていました笑)。

前回の投稿から2か月ほど空いている間に、リーグ戦は前半戦の折り返し。2か月前はこのままズルズルいくとまずいかもなーなんて思ってたが、堅い守備を身につけたことで、直近数試合はコンスタントに勝ち点を重ねることができていて安定した戦いを見せているのではないだろうか。特にマンシャ、孫、土屋の最終ラインの守備のコレクティブさ・ハイボールの跳ね返しには脱帽。試合を重ねるごとに安定感が増していっている感じ。

そして、新戦力であるヴァウ・ソアレスの加入はかなりでかい。長短のパスの使い分けが非常にうまく、甲府の攻撃にリズムをつけられる選手。試合の中でもサイドチェンジのボールを数本蹴っていたが、これもまた正確。甲府のストロングポイントになるだろう。

ただし、懸念点は乏しい得点力。特に前半戦は鳥海の不在が響いていたように感じる。攻撃のアクセントをつけられる選手であり、甲府の攻撃の核となる貴重な選手であるため、鳥海を中心にどのように攻撃を組み立てていけるか。そして、5バックの守備戦術をとっている甲府にとっては1トップでボールを収められる選手が必要。そこでネーミアス選手を補強できたのは大きい。前線でタメを作ることができ、三平・レイリアとは異なるタイプ。ネーミアスがおさめて、鳥海や田中などの2シャドーが追い越していく形ができ上がると面白い。

スタメン

ソアレスは前節にレッドカードをもらったため、今節は出場停止。正直いないのは痛いが、久々の先発に入った中山の奮起に期待したい。右WBに入る佐藤はここのところ、良いパフォーマンスを続けている。1対1も果敢に挑み、成長している姿を見ることができている。攻撃面においては、前述したように、ネーミアスのポストプレーで時間を作り、鳥海・田中がそれに絡んでいく鋭い攻撃を見たい。

熊本は前節のいわき戦で1対5の大敗。リーグ戦は7試合勝利無し。甲府はこの不調につけこむことができるか。しかし、前線に入る塩浜は要注意選手。システム的にマンシャがマークする形になることが予想される。どれだけ仕事をさせないか。熊本は、テンポよくつなぎ、ポゼッション主体の攻撃的なサッカーをしてくる。特に上村や三島を起点にして前線にいいボールが入ったときに、攻撃のスイッチが入るといった印象。守備はマンマークディフェンスだが、クロスの対処が甘く、そこから失点することが多いため、大外の荒木や佐藤のクロスなんかも甲府にとっては武器になるのではないか。

田中!鳥海!

甲府ボールで前半戦キックオフ。まずは河田が長いボールを蹴りだす。対する熊本もまずは陣地を回復しようと長いボールで対応する。熊本は短いパスをつなぎながら前進していくサッカーだが、甲府がどこから守備をしてくるかを探っているのだろう。

そんなことを考えながら試合を観ていたら、甲府が電光石火の一撃を見舞う。田中が相手に体をつけられながらも中央を強引にドリブルで突破していき、鳥海とワンツーでペナルティエリア手前へ抜け出す。相手CBにボールが当たり、マイナス方向に転がるも田中が上手く体を入れて、後ろから走りこむ鳥海へラストパス。鳥海はワンタッチでボデーシュートを放ち、見事にネットを揺らす。シュートをねじ込むという表現が妥当だろうか。強引な突破から鮮やかなゴールだった。熊本としては試合に入り切れていない中での痛い失点とも言える。

ネーミアスのポストプレー

甲府の得点後、熊本のプレスの形を冷静に見ると、甲府の3CBに対して熊本の3トップが積極果敢にボールを奪いに行く。また、甲府の2ボランチに対しても、2人がマークに行っていて完全なマンツーマンディフェンスを行っている。甲府にとってはそれは想定済みで、ビルドアップに困ればネーミアスという明確なターゲットにボールをつけようとする。となると、この試合のポイントはネーミアスのポストプレーが勝ち負けを左右することになると想像できる。

そう判断して、開始10分以降ネーミアスのポストプレーには注意深く見るようにしていたが、高さもあり強さもあり、熊本CBも対応に苦慮している様子が見受けられた。CBあるいはWBからのロングボールに対して時にはキープし、時にはファールをもらい、と甲府に時間を与えるプレーが非常に印象的。19分にはネーミアスのポストプレーから右サイドを佐藤が抜け出し、田中に対してピンポイントクロスを送るなどチャンスの起点にもなっていた。

対する熊本は、基本的にボールをキープし、子気味良いパス回しで甲府ディフェンスを揺さぶろうとする。特にCBの前にポジショニングする上村が攻撃の起点か。上村がボールを持つと前線が一気に動き出す。何本か効果的な縦パスを入れており、上村の縦パスがスイッチであることが明確。左WBの三島もそれをサポートするかのようにインサイドにポジションニングしてビルドアップ時には3CB・2ボランチという形をとることで、熊本のパス回しを支えている。そして、中央の藤井が甲府の2ボランチの背後に立つことで、数的優位を作り上げることができている。

そんな熊本の攻撃だが、甲府は【5-4-1】の守備ブロックを形成し、中央を固く締めている。1点を取ったこともあるが、この試合は熊本にボールを握られることをある程度は織り込み済みで、無理に前線から奪いに行くことはしない。どちらかと言うと、ミドルできちんとブロックを敷き、スペースを消す作戦。これがかなり効いている。熊本はパスをつなぐことはできるが、決定機はない。攻撃の時間は極端に少ないが、甲府の心理としては「上手く守れているぞ!」といった感じだろうか。

得点してから30分ほどはほとんど熊本がボールを握る時間が続いたが、35分以降、セットプレーを中心に甲府がゴールに迫るシーンが何度も生まれる。甲府の今シーズンの武器は何と言ってもセットプレーからの得点力。FK・CK・荒木のロングスローと立て続けに熊本のペナルティエリア内にボールを入れて得点の匂いがした。単純に高さという意味では、孫・マンシャ・ネーミアスといるため、甲府に分がある。この勢いから前半終盤は完全に甲府の時間。しかし、この時間帯にはゴールは生まれず前半は終了。

ハーフタイム

前半のMVPはゴールを決めた鳥海だろうが、ネーミアスのポストプレーは非常に効いていた。CBに競り勝つシーンも多く、甲府に多くの時間を与えることに成功していた。そして守備も決してサボることはない。素晴らしい選手だなと改めて感じた。また、気づかれないところかもしれないが、マンシャのボールを蹴りだすか、それともキープしてCBまたはボランチにつなぐかの判断は非常に良かったと思う。ただただ、相手の果敢なプレスを回避するためにロングボールを縦に送るだけではないという姿勢に賛辞を贈りたい。

甲府いわき
5シュート3
5枠内シュート2
37%ボール支配率63%
163(76%)パス(成功率)354(88%)
1オフサイド1
1コーナーキック1
2ファウル5
0/0警告/退場1/0

スタッツを見る限り、やはりボールキープができていたのは熊本。パス数も2倍の差がついている。しかし、シュート数をみてわかる通り、スペースを消して決定機を作らせない甲府の守備が光ったともいえる。甲府は後半もスペースを消した守備をどれだけ続けられるかはカギになりそう。また、今シーズンの甲府の課題は複数得点。これを克服する後半にできるか。

攻撃の形を変えた熊本

熊本のキックオフで後半スタート。ここは大きく蹴りださず、最終ラインと上村でパスをつないでいく。前半の熊本の攻撃のほとんどは上村を経由して前線へという展開だった。しかし、後半序盤の攻撃は、その上村を無視するかのように一つ飛ばしのパスが前線へ通る。これには、甲府の守備ブロックもさすがに慌てた様子。その動揺もあり、熊本が試合のペースを握る。GKがボールを持った際にも、これまではすぐにCBにつけていたが、ここではロングボールを多用。オフサイドにはなったが、そのロングボールから塩浜がトラップし、大西がオーバーラップという甲府にとっては危ないシーンを作られた。明らかに熊本は後半の戦い方を変えてきたなという印象。

最初の10分はバタついていた甲府だったが、熊本の戦い方に徐々にアジャストし始める。甲府のビルドアップ時の形をみると、林田が下がり目の位置を取り、CBの出口になろうとする。中山がそれに対して高い位置をとるため、林田から中山に繋がればプレスもかいくぐれチャンスが広がりそう。

60分には熊本は前線の2選手を交代。甲府もネーミアスに代わり、大島を投入。キリの良い時間であることからも元から決まっていた交代だったのかもしれない。ネーミアスのこの試合でのプレーは素晴らしかっただけに、大島が入ってどのように攻めていくのかは見物。なお、大島はネーミアスのいた1トップに入った様子。

PK献上、、、?

熊本はこの交代の前あたりから、前半していた細かくつなぐサッカーに再び回帰。上村を中心にパスが回っていく。上村など中盤では子気味良くパスは回っているものの、相変わらず、甲府の守備組織を崩すには至らない。甲府のディフェンスは非常に集中していると言える。ただし、基本的には守勢に回っている甲府。体力的にきつくなるこれからの時間に向けて、自分たちの時間も作っていきたい。

そんなことを感じ始めた67分に甲府がPKを献上。相手のシュートに飛び込んだマンシャの手に当たったとして、主審が笛を吹く。映像を見る限り、マンシャの顔に当たっていたため、これは完全な誤審だろう。甲府の選手たちの必死のアピールもむなしく、PKを冷静に熊代に決められ同点。やはり複数得点を上げるチャンスを上げるチャンスがあったのに決め切れなかったことが響く失点で、サッカーのあるあるとも言える。この失点からそのように甲府は立ち直るか。

失点後の甲府は明らかに前へ出る回数が多くなる。どちらかと言うと、左肩上がりに荒木が果敢に抜け出しを狙う形。73分には大島のクロスから荒木がシュートという形で決定機を作り出すことができた。ただ、ネーミアスの不在は大きく、前線でタメを作ることができない甲府は攻撃のリズムが生まれない。ただし、熊本のビルドアップをひっかけて、ロングカウンターを一発狙う形は機能している。何せ鳥海・田中と運ぶのに長けた選手がいるのは心強い。それを見た、大塚監督は中盤の中山に代わりレイリアを入れる。実際にレイリアがガンガン裏に抜けだして、カウンターが完結する形も見られ始める。

オープンな展開へ

こうなると、当然試合はだいぶオープンな展開となる。お互いにボックス内でのプレーが増え、どちらに点が転んでもおかしくない面白い展開。レイリアのプレーを見ていると、動き出しの部分が依然と比較してだいぶ洗練された印象。いい動き出しを繰り返しボールをよく引き出すことができている。ネーミアスほどの強靭さはないが、持っているスピードという武器を持つ1トップとして長い時間みてみたいとも思った。

熊本はビルドアップを引っかけられてカウンターを食らう展開を嫌い、自陣深くでボールを持った際には、前線へロングボールを蹴りだす。ロングボールにはもちろんマンシャが跳ね返す。とても強い。ポゼッションを捨てた熊本は怖くない。甲府がまたしてもセットプレーを中心に相手ゴールを脅かすシーンが増え始める。88分には三平・小林を投入。三平はミッドウィークの福井U戦で点を取っているだけに何とかワンチャンスをものにしたい。しかし、お互いに決め手を欠き、このまま試合終了。お互いに勝ち点3が欲しい一戦だったが、勝ち点1を分け合う形となってしまった。

雑感

甲府はPKにより失点してしまったが、安定した【5-4-1】の守備ブロックを最後まで集中していた。甲府としては熊本がこの試合はボールを持つことを事前に予想し、自分たちが主導権を握る戦いを捨てて、この守備ブロックを90分継続することを選択した。結果的には1対1のドローだが、甲府の守備が熊本のポゼッションサッカーを上回った試合といえるのではないだろうか。

攻撃はネーミアスのポストプレーが光った。あれだけ前線でタメを作り、甲府の攻撃を活性化させることができたのは評価を高める結果となっただろう。今後の試合もネーミアスの1トップは固定化されそうなだけに、そこに2シャドーが絡んでいくシーンをもっと見てみたい。マンシャは不運な形でPKを献上してしまったが、あれは誤審。気落ちせずに甲府の守備を支えてくれ!

甲府いわき
9シュート6
5枠内シュート5
38%ボール支配率62%
293(76%)パス(成功率)589(84%)
1オフサイド2
4コーナーキック3
12ファウル7
2/0警告/退場1/0

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