こんにちは!Shawです。
2025シーズンからヴァンフォーレ甲府の試合について分析していきたいと思っています。
2024シーズンは12勝9分17敗、得点54(6位)、失点57(14位タイ)で14位となった甲府。
得点は奪えていたものの、けが人が続出しさらに失点数が多く、結果的に下位に低迷しました。
今シーズンは、チーム内得点王のアダイウトン、2位ウタカが退団し、個で打開できる選手がいなくなりました。
そのため、この穴をどのように埋めるのか注目が集まります。
そして、大塚監督は「ボールと相手を走らせるサッカー」を標榜しています。
守って守って失点数を減らすのではなく、攻撃を自ら仕掛けていくことで失点数を減らしたいと考えているようです。
そして、球際、セカンドボールで相手に勝ることを選手に求めているみたいですね。
スタメン

大塚監督の言葉にある通り、甲府がボールを持ち、アグレッシブに戦っていくことが予想されます。
山口は前からプレスを積極的にかけていき、前線の有田に素早くボールを当てることが考えられます。
甲府の注目はFW登録の宮崎がRWBとして起用されていることではないでしょうか。
昨シーズンもRWBが高い位置を取り攻撃に関わっていく形がみられていたので、推進力のある宮崎がどのようなパフォーマンスを見せるか楽しみな起用です。
ロングボールで探り合う
山口のキックオフはバックパスからロングボールという形で開始。
高さのある有田をめがけてロングボールを蹴り、セカンドボールを拾い二次攻撃につなげる作戦のようです。
甲府は守備時は【5-4-1】でミドルで構える形。
山口は徹底して有田へロングボールをつけることで、甲府のディフェンスラインを少しずつ下げていきます。
しかし、ディフェンスラインの統率が上手くできており危ないシーンは作られません。
一方の攻撃は、マテウスレイリアへロングボールを入れる形を続けますが、マテウスレイリアはボールをキープできず、停滞気味になります。
甲府は本来、RWB宮崎を前に押し出して、右肩上がりに攻撃を仕掛けることを考えていたはずです。
しかし、山口のLSH野寄、LSB亀川がその特徴を出させまいとわざと高い位置を取り、宮崎が前へ出られないように妨害していました。
そのため、甲府はマテウスレイリアへのロングボール→おさめられない→山口にボールが渡るという悪循環に陥って攻撃不全を起こしていました。
甲府はどのように攻撃を立て直していくのかなと思っていたところ、RIHの大島が気を利かしたプレーを見せてくれるようになります。
それは、高いポジショニングをする亀川の裏をしつこく狙うというものです。
そこにバックラインからロングボールが出てくるようになり、マテウスレイリア以外のビルドアップの出口の選択肢を確保し始めます。
また、左はロングボールではなく、鳥海と荒木の関係性から徐々に前進していく形を見せるようになり、17分には鳥海との関係性から荒木が得意の左足クロスでチャンスを作ります。
孤立するマテウスレイリアとビッグセーブの河田
ですが、押し込むのは依然として山口です。
【5-4-1】でブロックを敷く甲府は、マテウスレイリアが前線で孤立気味になっており、ボール奪取後にパスが出るものの、なかなか収めることができずにリズムを作れない展開が続きます。
中盤でボールを収める時間が欲しいところです。
山口は、高い位置を取る左サイドの野寄を起点に中央のクロスで甲府のゴールを脅かします。
20分には山口にとっての決定機が生まれます。
山口のCH三沢が中央から野寄へグラウンダーのパスを通します。
野寄は中央へクロス、山本がダイレクトでシュートを放つも当て損ね、有田へパスのような形になり、有田はゴール隅へワンタッチシュートを放ちます。
決まったかに思えましたが、河田が横っ飛びでビッグセーブ。
まさに熟練のセーブといえるものでした。
修正力が光った甲府
25分を過ぎたあたりから、CHの林田と平塚の位置が入れ替わります。
右利きの林田が右、左利きの平塚が左です。
そして、林田が少し下がり目の位置をとることで、バックラインからボールを受け中央で前を向けるようになります。
マテウスレイリアへのロングボール一辺倒だった攻撃の形も林田と平塚を起点にショートパスでサイドを打開できるようになっていきます。
また、宮崎がサイドでボールを持った時に、野寄と亀川が食いつくため、裏のスペースをRCBの土屋がインナーラップして前線へ出ていく姿勢が目立つようになります。
30分頃になると徐々に甲府がバックラインとサイドの数的優位を活かしてボールを握る時間が増えてきます。
山口はサイドでボールを持った時に相手がボールに対して圧縮してくるため、宮崎のサイドでボールを持っていれば荒木が、荒木のサイドでボールを持っていれば宮崎が浮きます。
しかし、甲府はそこを活かすところまではいきません。
32分以降、大島と鳥海の位置が逆になり、それぞれがマテウスレイリアの近くにポジショニングするようになりました。

これ以降、甲府が主導権を握る時間が前半終了まで続きます。
ここは甲府の修正力が光っていたなと思います。
これまではマテウスレイリアにロングボールを入れるだけでしたが、2シャドーがより近くなることで、こぼれ球を拾えるようになりました。
また、相手のプレス強度によって長短のパスを使い分けるようになります。
前から強く来たら前線の3人へロングボール、弱いと見たらセンターハーフとサイドへショートパスという具合です。
ビルドアップに複数の選択肢が生まれたことで、自分たちの時間を作ることに成功しました。
ハーフタイム
お互いに相手の出方をうかがう前半となりました。
山口がロングボールとショートパスを上手く混ぜ甲府に的を絞らせない展開が続きました。

山口が左肩上がりに攻め込んでいることで、DAZNの速報では注目に挙げた宮崎の平均ポジショニングがセンターライン付近に押し下げられていることがわかりました。
宮崎はより前のポジションで活きる選手なので、後半は宮崎がより高い位置をとれるような工夫が必要ではないかと思います。
後半キックオフ
甲府の布陣は前半終了時のままです。
甲府のキックオフはロングボールで陣取りをします。
山口もまた、ロングボールで有田を目指そうとします。
甲府が少ない人数で山口を攻め立てる
49分には甲府にチャンスが生まれます。
林田が中盤でこぼれ球を回収し、右の土屋へ展開。
前のスペースにいる宮崎へボールをつけます。
宮崎がボックス内へアーリークロスを送り、逆サイドへボールが流れます。
荒木がすぐさまボールに追いつき、中央に遅れて入ってきた平塚へパス。
平塚がダイレクトシュートでゴールを脅かしました。
これは前半でも指摘したように、逆サイドで浮いているWBを活かした攻撃が上手くいった形です。
ゴールを予感させる後半最初のチャンスでした。
そして、甲府の流れのまま、試合がついに動きます。
荒木のスローインを大島が頭で中央へすらします。
走りこんだ鳥海がボールを受け、ワンタッチで前方右前に走りこんだマテウスレイリアに落とします。
そして、マテウスレイリアはワンツーの形でヒールで鳥海にパスして、鳥海はディフェンスラインの裏に抜けます。
角度のないところからニアへ強引にシュート。
キーパーとの1対1を制して甲府が見事に先制します。
1トップ2シャドーが近い関係性で連動することができた見事なプレーでした。
後半立ち上がり早々に得点が取れたことで、甲府としては非常に大きな得点となりました。
ミドルで構える甲府
山口は失点以降、左サイドにボールを集めて中央へクロスを送る作戦を続けます。
甲府は小出を中心にディフェンスラインの統率が上手くできていたため、チャンスらしいチャンスを作らせません。
山口がボールを持ち、甲府は5-4-1でミドルプレスをかける展開が続きます。
特に山口のセンターハーフにボールが入った際に林田と平塚が徹底してボールを奪いに行きます。
甲府としては、山口のCBからCHを消し、SBにボールを出させる意図があるようでした。
基本的には深追いはしないように、1列目と2列目の距離が開きすぎないように調整しているようでした。
65分には注目に挙げていた宮崎がチャンスメイクします。
山口の亀川が自陣でサイドチェンジをします。
受けた喜岡のトラップが大きくなり、それを見逃さなかった宮崎がボールを奪取し、ラインブレイク。
右ポケットから中央へクロスを送る。
そして3列目から飛び出した林田がゴール前で合わせるも、ボールは惜しくも枠の上へ。
宮崎の攻撃センスと甲府のミドルプレスが上手く機能していることが表れたプレーでした。
甲府は守備に重心をかけているものの、このように隙を見て前へ飛び出していく姿勢を見せ続けます。
その後も山口はロングボールを前線に入れていきますが、甲府のディフェンス陣が難なく跳ね返す構図が続き試合は終了します。
雑感
「ボールと相手を走らせるサッカー」を標榜する甲府。
大塚監督が考えているサッカーが表れているようでした。
まずは守備意識が昨シーズンに比べて格段に上がっていました。
【5-4-1】での守備ブロックはなかなかの出来だったのではないでしょうか。
ただし、山口は単純にロングボールを放り込んでくる形だったから機能したとも言えます。
これがショートパスや連携を使って攻め込んでくるようなサッカーをする相手に対してどこまでやれるのかというのは気になります。
一方の攻撃はアダイウトンやウタカがいた昨シーズンよりはおとなしさがあるなというのが正直なところです。
この試合のように1トップ2シャドーの連携の出来が勝負を左右することになるかもしれません。
何度も述べていますが、個人的にはRWBの宮崎が興味深いです。
攻める時はその能力をいかんなく発揮してくれるでしょう。
守備にはまだまだ改善の余地がありそうなので、この試合のように先発が宮崎選手で守備固めをする際に井上選手がWBに移動するというのは今のところ理にかなっていると思います。
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